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燃費偽装車問題で軽自動車メーカーはどうなった?株価は?これまでの経緯の整理とまとめ

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三菱自動車の燃費偽装問題、各自動車メーカーにも飛び火して一時はマスコミを賑わせていましたが、少し落ち着いてきたようです。

燃費偽装発覚直前に日産デイズを購入した私としては、結局どうなるの?って感じで、やはり気になる話ではあります。
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私以外にも、関心を持っておられる方がいらっしゃるようで、いまだにチラホラと記事を読んでいただいてます。
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検索ワードでは「三菱 燃費不正」とか「三菱 偽装」とかで入ってくる方が大半ですが、「スズキ 燃費偽装」とか「ダイハツ 燃費」でこの記事に来る方も・・。

そこで、今回は「燃費偽装」に関する一連の経緯と今後について、三菱自動車以外の軽自動車メーカーについても株価の値動き等を交えながら、まとめてみたいと思います。

まずはやっぱり三菱から

三菱自動車

  • 4月20日  三菱自動車が国土交通省に提出した燃費試験データについて、燃費を実際よりも良く見せるために不正な操作を行っていたことが発覚。不正の対象となったのは、2013年6月から三菱自動車で生産している「eKワゴン」「eKスペース」と、同じ車種を日産自動車向けにOEM供給している「デイズ」「デイズルークス」の4車種。三菱自動車の15万7000台と、日産自動車の46万8000台の合計62万5000台(2016年3月末現在)。なお、不正発覚のきっかけは日産による燃費性能の調査による。
  • 5月11日 4月に公表した軽自動車4車種のほかに、現在販売しているその他の9車種や販売終了した複数車種でもデータ改ざんや不正計測などの可能性があると発表。同日、燃費偽装問題に関する社内調査の結果を国交省に報告。
  • 5月13日 国交省職員5人が東京都港区にある三菱自本社に入り、11日に三菱自から提出された社内調査報告書の内容について聞き取り、関連する資料の確認。石井啓一国交相は13日の閣議後の会見で、三菱自の調査報告書について「不正行為の全容解明には不十分」と指摘。企業姿勢に関して「リコール隠しなど不正事案を重ねてきたにもかかわらず、さらに今回の不正。極めて遺憾であると言わざるをえない」と厳しい表情。
  • 5月16日 日産自動車が、三菱自の株式34%分となる2370億円を出資して筆頭株主に、事実上傘下に収める。単独で株主総会の重要事項を否決できる「拒否権」も。
  • 5月22日 国交省が三菱自が販売を継続している9車種についても、国交省の主導による走行試験を行うなどして燃費を検証する方針を固める。三菱自が販売を継続している9車種を巡っては、8車種で燃費算出のもとになる「走行抵抗値」を机上計算するなどの不正が発覚。三菱自はこうした不正があったものの、正しい方法で算出した燃費との「乖離はほぼない」と主張するが、国交省は不正を繰り返す三菱自の主張をそのまま受け入れられないとして、再検証することに。国交省は燃費偽装が明らかになった軽4車種についてはすでに、国の審査機関で燃費値の測定を行っており、6月に結果を公表する方針。
  • 5月25日 軽自動車の燃費偽装に絡むユーザーへの補償費の一部として、191億円の特別損失を計上したと発表。軽自動車4車種のユーザーが余計に支払ったガソリン代の差額分と過剰に適用を受けたエコカー減税の返還分を社内で推計し、算出。補償額の内訳は国交省が正しい燃費を測定中だとして公表せず。補償費を算出した対象は2013年から製造した累計約62万5千台。単純計算で一台当たりの平均費用は三万円になるが、国の燃費測定の結果次第でガソリン代の差額分は増える可能性がある。ユーザーも受け取る補償費が車種で変わるとみられる。
  • 6月1日  全国軽自動車協会連合会が1日、5月の軽自動車の販売実績を発表。三菱自動車は912台で、前年より75%減。

大雑把にこんな感じです。次に株の値動きを見ると。
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不正発覚で860円台から一気に半分以下の420円台(ストップ安)まで下げましたが、日産の資本業務提携発表後570円台まで戻し、その後横ばいで推移しています。取りあえず、日産との資本提携の発表で難を逃れたというところではありますが、発覚前の水準には未だ届かずといったところです。

三菱自動車の今後
国交省の発表次第で大きく左右されそうです。燃費偽装があまりにも悪質で、国交省の測定結果とかけ離れていた場合、国としても厳しい対応を取るでしょうし、甘い処罰ではマスコミもユーザーも納得しないでしょう。ただし、そこまでの悪質性が見られなかった場合には、金銭面の補償を命じられる程度で、販売停止だの、営業停止等の処分はされないのではないでしょうか?すでに、下請けの工場等に製造休止などの影響で、雇用の問題等の悪影響が起きています。三菱も7月をめどに、今回不正が発覚した軽自動車の販売再開を検討しているようです。

のど元過ぎれば・・・、にならないように日産と協力して今度こそしっかりとモノ作りに取り組んでもらいたいものです。

日産自動車

  • 4月20日 日産のJC08担当ドライバー(F1ドライバーに引けを取らない凄腕)が現行デイズを計測したところカタログ通りの燃費を出せなかったことにより、三菱自動車の燃費偽装が発覚。三菱からOEM供給を受けていた「デイズ」「デイズルークス」の2車種で46万8000台。不正発覚直後から2車種の販売を停止。
  • 4月25日 北京国際モーターショーに参加した日産のゴーン社長は記者会見で、「三菱自の燃費偽装の影響は限定的だ」と強調。「日産ブランドの信頼性が損なわれたとは思わない」と発言。ゴーン氏は三菱自との関係について「調査結果が明らかにされるまで待つ。全ての事実がテーブルの上に出そろってから決定を下すことになる」と強調。「三菱自動車はパートナーであり、競合他社でもある」とした上で、「現時点では今回の問題に対する三菱自の対応を尊重しなければならない」と述べる。また、中国事業を統括する関潤専務執行役員は「三菱自に商品を供給してもらった中での不具合なので、責任を取っていただく」と明言。
  • 5月16日 三菱自の株式34%分となる2370億円を出資して筆頭株主に、事実上傘下に収める。会見でゴーン氏が「日産自動車と三菱自動車は、広範囲に及ぶ戦略的アライアンスを組むことに合意した。この画期的な合意は両社にとってウィンウィンの内容で大きなシナジー効果と成長のチャンスを約束するもの」と語るとともに、「三菱自動車は私どもの全面的な支援により信頼を回復し、そして新たなビジネスのチャンスを掴むことができると信じている」と話す。
  • 5月17日 韓国環境省は16日、韓国で販売されている日産自動車のディーゼル車「キャシュカイ」について、排ガス規制を不正に逃れていたとして、韓国日産に対し課徴金3億3千万ウォン(約3千万円)を科し、社長を刑事告発する方針を発表。韓国日産は「日産は法と規定を順守し、それよりも厳格な基準を満たすべく最善を尽くしている」と表明、不正を否定。
  • 6月1日  全国軽自動車協会連合会が1日、5月の軽自動車の国内新車販売実績を発表。日産自動車は76.8%減の3105台。

日産の動向はこんな感じです。不正繋がり?で、直接には関係ない韓国日産の排ガス規制の問題も取り上げました。
株の値動きは
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ゴーンさんの発言通り、三菱自の不正発覚による影響は限定的な感じです。ただ、資本提携後も三菱自ほどの株価への影響は見られません。

日産自動車の今後
三菱自からのOEM供給とはいえ、「技術の日産」の看板を信じて購入したユーザーに何かしらの責任があると、個人的には思うんですが、今のところその辺りの責任に関しては、はっきりとした発言や動きは見られません。どちらかといえば、三菱自から信頼を裏切られた被害者のような立ち位置にも見えます。資本提携することで責任を果たそうとしているのか、単なるもうけ主義なのか、その意図はまだはっきりとは読めませんが、韓国の排ガス規制問題も含めて、ゴーンさんもそんなに楽観視はできないような気がします。

スズキ

  • 5月18日 国内で販売している四輪車全16車種について、国が定めた規定と異なる方法で走行試験を実施し、燃費に関連するデータを国に申請していたと発表。期間は2010年ごろからで、対象は軽自動車と小型車など合わせて約210万台。同日、国交省で記者会見した鈴木修会長は陳謝した上で、正規の方法で測定した走行抵抗値や燃費とのかい離は、誤差の範囲内として、全車種で公表値は修正せず販売も継続する考えを示す。会見で本田治副社長は「燃費を見掛け上、良くしようという意図はなかった」と述べ、燃費偽装の違法性はないとの認識を示す。不正行為の原因として、試験を行う相良テストコース(牧之原市)が沿岸部にあり、風の影響などを大きく受ける点を挙げ、国が認める「惰行法」と呼ぶ完成車による屋外試験は、「天候に左右され、試験が困難だった」と説明。タイヤやブレーキなど装置ごと測定した抵抗の数値や、屋内で実施した空気抵抗の測定値を積み上げ、使用していたと明らかに。
  • 5月31日 排出ガス・燃費試験で違法な方法を用いて算出された届出値と、改めて同社が適法な方法「惰行法」を用いて計測した燃費値を公表。公表したのは、現行生産車の16車種のうち適法だった車種を除く13車種と、同日公表した生産終了車1車種の14車種。そのすべてで、届出値を上回る結果かほぼ同等の結果となる。他社に供給した車両12車種は公表せず。確認した結果がカタログ値を上回る車種は、『アルトエコ』(2011マイナー2WD CVT)でカタログ値より105.3%、『ハスラー』(2WD CVT S-エネチャージ)で103.1%、『ワゴンR』(2WD CVT S-エネチャージ)が103.0%など。14車種平均では101.6%と1.6%上回る結果。違法な方法を用いたことについて、鈴木俊宏社長は「惰行時間をつじつまが合うように記録することにより、惰行法で測定したものとして提出していた」さらに「技術者は惰行法による検証も行っており、そんなにずれがない、使えるということで違法性が希薄になっていた」と謝罪。
  • 6月1日 5月の軽自動車の国内新車販売実績。スズキ、15.4%減の3万8094台。
  • 6月3日 国交省が、先月31日にスズキから提出された報告内容を検証するため道路運送車両法に基づいて、午前10時すぎから、静岡県浜松市にあるスズキの本社に対して立ち入り検査。開発の担当者や幹部から聞き取り調査を行ったほか、測定データなどの資料の提出を受け、不正な測定が行われた経緯などについて調べた。

以上が今回のスズキの経緯ですが、株の値動きは三菱自と異なります。
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スズキの株価は事件発覚前の5月17日終値が2880円台、不正発覚の翌18日に2450円台まで急落したものの、すぐに2800円台まで回復しています。国交省の本社立入の影響も無く、ほぼ急落前の株価水準にまで戻しました。

スズキの今後
スズキの場合は、不正の意図はなかったとの認識が高く、正規の検査方法でのデータもカタログ値を上回ったことで、逆に評価をあげる結果となっています。販売を停止している三菱や日産からの顧客が更にスズキに流れるという事も十分に考えられるでしょう。ただし、他社に供給した車両12車種のデータについては公表されていませんので、今後の動き次第では更なる不正が発覚しないとも限りませんが。

ダイハツ&ホンダ

今回の三菱自燃費偽装問題では、この2社は不正が指摘されたり、規定と異なる測定方法を行っていたという報告もしていません。そのためか、5月の販売台数もダイハツが前年比5.4%増、ホンダは3.8%増と販売を伸ばしています。三菱自などから顧客が流れ込んだ影響かもしれません。今後、2社についても不正発覚などが起こらないとは言い切れませんが、その可能性は極めて低いのではないかと思います。理由は後述しますが、それだけ今回の三菱自の不正は特別なケースだったと思います。


以上、今回の経緯と他の軽自動車メーカーへの影響についてのまとめはここまで。


補 足

今回よく耳にするようになった燃費の測定方法「JC08燃費」とか「惰行法」とかについて、こちらで詳しく解説されています。
autoc-one.jp


最後に

結局、悪質な不正を行っていたのは三菱自だけで、他のメーカーからはスズキを除いて、今のところ不正や偽装は出てきていません。スズキも規定通りに検査した結果、カタログ値を上回る測定値を出していることから悪質とは考えられず、規定と異なった試験方法も、試験設備や敷地等の物理的要因によるものと考えられます。

三菱自は、簡単に発覚するような、しかも不正発覚の代償を考えれば誰もやらないような事を、低燃費競争に負けられないという一心でメーカーとして超えてはならない一線を越えてしまったという事だと思います。

不正をしても発覚しなければ不正ではない、そういった上層部の考えが間違った社風を生み、リコール隠しが発覚した後も、体質を改善することなく不正を続けた三菱自の影響は、今後の日本の自動車業界に少なからず悪影響を及ぼすと思います。

今回の一件は、海外でも大きく取り上げられました。国内では、顧客が三菱自から他のメーカーに流れつつありますが、海外の自動車ユーザーから見れば「日本の自動車メーカーが不正を行った」としかとらえられず、日本車以外の自動車メーカーに顧客が流れていくことも考えられます。ここまで築きあげてきたいわゆる「日本ブランドイメージ」が崩れていくことも考えられない事ではありません。

三菱自だけの燃費偽装問題が、「日本ブランド」のイメージを崩壊させることになりかねない今回の一件、自動車業界のみならず、日本の「モノ作り」全体に悪い影響を及ぼすことになるかもしれません。

「低燃費競争に負けられない」という自社の事だけを考えた結果、日本の企業全体がそのモラルを疑われるようになるきっかけにまで発展してしまいそうです。

もっとも三菱自だけでなく、「モノ作り日本」の崩壊は、他にもいろいろと出てきていますが・・。
fukubuggy.hateblo.jp

今後は、国の検査体制も含めて、日本の社会全体で「モノづくりの精神」を築き上げて行ってほしいと心からそう思います。

個人的には、ゴーンさん(日産自動車)からの手紙(通知)がいつ届くのか、楽しみでもあります(笑)。通知が来たら追記します。

それでは。


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