どうもさるオヤジです。
マンションなどのくい打ちデータ不正の再発防止策として、国土交通省が、工事の丸投げの判断基準を明確化することを柱とした対策案をまとめたそうです。
www.nikkei.com
でもこれ、再発防止策になるとはまったく思えません。
丸投げを厳しく禁止することで、多重の下請け構造を排除して、責任の所在を明確化させるねらいがあるようですが、データ不正の再発防止には何の対策にもならない愚策だと思います。
厳しい言い方をすれば、役所に出す書類が一揃え増えるだけです。
丸投げは悪い事ではない
そもそも丸投げは、そんなに悪いことではありません。大会社の元請よりも、地場の下請け中小企業の方が、よっぽど機動力がありますし、俊敏性もあります。むしろ、地域によっては元請よりも知名度があったり、信頼を得ていることも多く、不測の事態に臨機に対応できるのも下請け業者だったりします。
元請が、地場の下請け業者を使う事で地域の製品が使われ、雇用を生み、地域経済が活性化する、丸投げにはそんな大きなメリットがあります。
責任があるのは元請
今回の不正防止策の「責任の所在を明確化」ですが、元請下請けの施工体制において責任の所在を明確化する必要はありません。責任があるのは元請です。一次下請けも二次下請けも、いくつの多重下請け体制になっても最終的な責任は元請にあります。
ただし、これには、元請けと下請けの固い信頼関係が必要です。ちょっと昭和かと思われそうですが、あえて言葉にするとこうです。
元請:「あんたを見込んで、この仕事をお願いしたい」
下請:「請け負うからには、あんたに恥はかかせない」
元請は、工事の施工内容・施工条件・必要な資機材をすべて把握して、下請け業者を選定し、そうやって選定された下請け業者は自社の特性、地元での機動力を生かして元請けの信頼に応える、建築施工に限らずいわゆる「モノ作り」にはその固い信頼関係が大前提です。
本当の再発防止策
以下は、前に書いたこの記事と内容が重なるんですが、結局、検査体制の見直し、厳格化しか策はないと思います。
fukubuggy.hateblo.jp
- データを鵜呑みにしない検査体制
- 検査期間を見込んだ工期の延長
- 工事費への検査費の織り込み
- 検査官の技術向上、人材の育成
元請下請けの固い信頼関係の上に施工されたモノを、更に「性悪説」で厳格にチェックする検査体制の確立、それに見合う工期と工事費。
書類上ではない、根本的な体制を改善する再発防止策を講じないと、「モノ作り大国日本」の信頼はどんどん失われてしまうでしょう・・。
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