さるオヤジの 何を今更

今更ながらいろいろと奮闘してます。その自己満足的な記録です。

ChatGPTよりZ400GP 40年ぶり!!真っ赤なドレスを着た元カノにまたがる


私の若かりし青春の日々について書かせていただきます。

彼女との出会い

1985年(昭和60年)の夏。自動二輪中型免許を取った私は、原付スクーター(HONDAスーパータクト)に乗って毎日のように近郊のバイク屋さんを廻っていました。

目的は憧れの彼女(KAWASAKI Z400P)を探すためです。

当時は今のようにネット環境なんてありませんでしたから、直接バイク屋に行って探しての繰り返しでした。

一度行ったバイク屋を一週間後また覗いてみたり、あてもなく県外のバイク屋まで探しに行ってみたり・・、あの頃はどこに行っても、中村あゆみの”翼の折れたエンジェル”が流れていましたね~、たしか。

そうこうしているうちに夏休みも終盤に入り、夏の出会いを諦めかけていたころ、友人からバイク屋で彼女を見かけたという情報が入りました。その場所を詳しく教えてもらい、翌朝早くに出かけていきました。

その店は私の家から30キロほどの場所にありました。思っていたよりも大きなバイクショップで、たくさんの中古車がならんでいます。
まだ開店前らしく、入口は鉄の門扉にカギがかけられていました。

門扉の外から並んでいる中古車を見まわすと・・、いました。列の奥の方に”真っ赤なドレスを着た彼女”が

店の外から彼女を眺めていると、隣の家からおじさんが出てきて私に声を掛けました。

怪しい人物だと勘違いされたと思い
「バイクを買いに来たんですけど、ここのバイク屋さんの開店は何時からでしょうか?」
するとおじさんが
「どのバイク?」
「あの赤のZGPです」と私。

「あれね。昨日入ったばっかり。ちょっと待ってな」
そういいながらおじさんは鍵を持ってきて門扉を開けてくれました。このおじさんがバイク屋の店主さんだったのです。

おじさんに案内されて彼女のそばまで入っていきました。「月刊オートバイ」で初めて目にした時からずっと憧れていた彼女の姿が目の前にありました。

ファイヤークラッカーレッドの車体にタンクからテールカウルにまで伸びる紺とシルバーのライン。対照的に真っ黒なエンジンとマフラー。角ばったボディにマッチした角ライトに角ばったメーター。

それまで彼女を写真でしか見たことのなかった私は、とにかくうれしくて、出会えた喜びに興奮していました。
「これ、買います。いくらですか?」

するとおじさんは
「車検は残ってるけど、まだ整備してないから値段決めてないよ」
「予約済みにしといてやるから、来週親と一緒においで。来る前に電話してな」

次の週、事前に電話して再度お店へ。
彼女はきれいに磨かれてキラキラと輝いていました。

はたしてアルバイトとお年玉で貯めた25万円の予算内で買えるのか・・・
「いくらですか?」
おそるおそるおじさんに尋ねると
「30万円」
予算オーバーでしたが、諦める訳にはいきません。

その後の値段交渉で28万円まで値引きしてもらって、足りない分は同行していた父親にお願いしました。

それからの生活は朝から夜遅くまで乗り回したり、一日中磨いたり、改造したり・・、欲しかったバイクにいつでも乗れる幸せでいっぱいでした。

当時の彼女を写した写真です。

  • ハリケーンのセパハン
  • ヨシムラサイクロン
  • マックレーンのバックステップ
  • ナポレオンミラー
  • スモールウインカー

等々、自慢の彼女でした。

彼女の失踪

そんな夢のような時間は長続きしませんでした。

ある朝、家の玄関を出ていつものように彼女の方に目をやると・・いない。
そこにある筈のGPが忽然と消えていました。

バイク盗難です。

怒りと悲しみでその場に座り込んでしばらく動けませんでした。

警察に被害届を出して、自分でも近所を探し回ったり、友人たちに訪ねて回ったりしましたが見つかりません。

3カ月ほど過ぎ、半ば諦めかけたころに警察から見つかったとの連絡がありました。

この朗報に私は、また彼女に再会できる喜びに興奮しながら急いで引き取りに行きました。

再会

警察署に着いて彼女を見たとき、その姿に驚愕しました。

ミラーとウインカーはもぎ取られて、テールカウルとリアフェンダーは雑に切断されていました。
ヨシムラのサイレンサーも切断されて直管仕様になってます。

明らかに暴走族仕様になってました。

違法改造車のバイクを警察署から乗って帰る訳にもいかずに、軽トラックに載せてもらって家に連れて帰りました。

放置

その後、しばらくは盗まれる前のような姿に戻そうと思っていましたが、何となく彼女への熱が冷めたというか、気力がなくなったような感じがして、純正ウインカーランプや純正マフラーは付けてはみたものの以前ほどの彼女への愛情はもうありませんでした。

時が過ぎ、自動車免許を取った私は友人たちと同様にその興味が四輪へとシフトして、彼女の存在さえも忘れていきました。

復活へ

先日、コンビニに寄った時に5,6台のバイクが止まってました。
いわゆるバイク旧車会です。

絶版車でパーツもないだろうし、維持するの大変だろうな~と思ってみていると、そのバイクのライダーさんたちが店内から出てきました。
年齢的には私と同じか少し先輩ぐらいに見えました。

彼らは直ぐには出発せずに缶コーヒーを片手にバイクを眺めながら楽しそうに雑談をしていました。
その姿が、とにかく楽しそうで。なぜかバイクたちも楽しそうにしているように見えました。

「GPを復活させたい」
そんな思いがふつふつと沸いてきました。

その日の夜、彼女の元へ。

倉庫の一番奥で40年近く放置された彼女はいったいどんな姿になっているのか。
手前の荷物をよけて、埃まみれの汚い毛布の下に彼女の姿がありました。

自慢の真っ赤なタンクは塗装が剥げ、黒いエンジンは白い粉を被ったようになり、タイヤはつぶれ、マフラーもホイールもさびと汚れで悲惨な状況です。

私は、昼間見たバイクたちの姿を思い出して、彼女に申し訳ない気持ちになりました。
「GPを復活させたい、必ず復活させる」

改めて強く決意しました。

これから

という事で、単にバイクのレストアを始める事にしましたって話です。
かといって、それほどバイクに詳しくはないですが、今はYOUTUBEとかもありますし、暇つぶしに少しづつやっていきます。

ちなみに今の彼女(ZGP)の姿はこんな感じです。

ひどいですね~。はたして復活できるのか?

いや、きっと出来るはず。

そうじゃないとこのまま朽ち果てさせるのはあまりにも彼女が可哀想ですから。